≪14回目≫
「イスラエル 子だくさんの国 体外受精費全額補助、出生率は先進国1位」2018.4.23 朝日新聞
イスラエルの女性は平均で3人の子供を産む。先進国では突出して高い出生率の一因が、世界に類をみない出産奨励策だ。背景には家族を重視するユダヤ人の文化や宗教に加え、悲劇の歴史や政治が絡んでいる。
イスラエルでは1995年の国民医療保険法制定以来、①女性が45歳までで、②現在のパートナーとの間に二人の子どもを得るまでの間、体外受精の費用が国の保険で全額賄われている。
日本では原則として実施されない代理出産もイスラエルでは認められている。〜中略〜代理母と交わす契約書を保険省の専門委員会が審査、承認し、代理母が出産した後、両親が裁判所で手続きをすれば実子と認められる。
治療費の全額補助や代理出産も認められるなど、制度的に恵まれているなと一読して思いましたが、この中に身を置くと、これだけの制度があってもなお、授かれないという結果になった人にとっては、この社会はさぞかし生きにくい社会だろうと思えました。血のつながりを重視しているから、卵子提供より代理出産が検討されるようですし、歴史的背景もあるのでしょうが、家族重視、民族重視の国策に当事者が翻弄されているような気もします。代理出産で子どもをもうけたゲイカップルが載っていましたが、5歳の双子の息子がいるというのを読んで、受精卵1つ戻したけど、子宮のなかで2個になって出産に至った例だろうか、それとも代理母に受精卵2個戻しを依頼したのだろうか、と心配になりました。多胎妊娠は母体に負担がかかります。妊娠継続も出産も。研究者は「養子縁組は支援の対象外。技術が先行し、リスクの説明が不十分。健康への悪影響が真剣に研究されているとは言えない」と指摘。夫婦が、個人が幸せになるために生殖医療を選択できているのか、そしてまたその「夫婦の幸せ」が社会からの圧力の結果から来ているものではないのか、そんなことも不安に思える記事でした。
余談ですが、イスラエルでは体外受精は年間4万件超。年間に生まれる子どもの5%近くを占めるとありました。日本は2015年のデータで、年間42万件の体外受精が行われ、5万人の赤ちゃんが生まれています。年間に生まれる子どもの中での割合は、同じ5%(19.5人に1人)ほどです。